神経外科(椎間板ヘルニア)
Neurosurgery

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神経外科(椎間板ヘルニア)

椎間板ヘルニアは受診を急ぐ必要がある病気です。
椎間板ヘルニアとは背骨と背骨の間にある椎間板が、背骨の中を走る大きな脊髄神経を圧迫する病気です。背骨は頭の後ろから首〜背中〜腰〜尾までつながっており、椎間板ヘルニアによる神経の圧迫はどこの部位でも起きる可能性があります。その中でも特に首や腰で起きることが多く、それぞれ頚椎ヘルニア、腰椎ヘルニアとして症状がみられます。椎間板ヘルニアは神経の圧迫部位程度によって症状は様々ですが、神経機能の回復に大きく関わることもありますので、症状が見られた際には早期の受診をすすめております。

神経症状の程度(グレード)によっては、できる限り早く外科手術による治療が推奨される場合があります。手術にならなくても、その子に必要な対処をできるだけ早くしてあげることが大切です。
当院では、問診や触診でできる限りの状態を把握し、整形学的検査法や神経学的検査法による病変部位の特定、症状のグレード評価を行います。さらに同様な神経症状を示すような他の疾患がないかスクリーニング検査として、レントゲン検査による画像検査を実施します。より詳細な検査が必要と判断された場合や、椎間板ヘルニアの可能性がある場合ではCT検査を行います。
CT検査では、椎間板ヘルニアの部位の特定や多発病変の確認が行えるだけでなく、低侵襲、確実かつ短時間の手術を進める手術プランにも大きく役立ちます。

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よくある症状

このような症状はありませんか?

これらは神経外科疾患である、椎間板ヘルニアの可能性が高いです。椎間板ヘルニアは脊髄神経の圧迫の程度、神経損傷の程度により症状は軽度から重度まで様々あります。

  • 歩き方がいつもと違う
  • 背中を丸めてじっとしている
  • 歩きたがらない
  • 今まで登っていた段差を嫌がる
  • 足を擦って歩く
  • 後ろ足がフラフラして力が入らない
  • 排便排尿が自力で出来ない
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椎間板ヘルニアの程度

椎間板ヘルニアは症状や触診、神経学検査によって程度(グレード)が分類されます。ただし症状の程度(グレード)が必ずしも神経の圧迫や損傷の程度と一致しないこともあります。そのため画像診断なども合わせて総合的に評価します。

程度(グレード) 状態
①正常歩行が可能であるが痛みが見られる 動きたがらない、ジャンプや階段を嫌がる、背中を痛がる、痛みで体が震えているなど
②歩行は可能であるが、後肢に不全体麻痺がある 歩行可能であるが肢に力が入らない、足先を引きずる、肢が交差してふらふら歩くなど
③歩行が不可能で、後肢に不全体麻痺がある 肢や尾を動かすことができるが、体重をしっかりと支えることができない、補助が無いと立てないなど
④歩行が不可能で、両後肢に対麻痺がある 両後肢を本人の意思で動かすことができない、両後肢を引きずりながら歩くなど
⑤歩行が不可能で、深部痛の消失を伴う両後肢の対麻痺 脊髄神経の中心付近を走る深部痛覚神経の麻痺、両後肢の完全な麻痺、背中の痛みの消失など
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椎間板ヘルニアが発症しやすい犬種

椎間板ヘルニアが発症しやすい犬種は、ミニチュアダックスフント、フレンチブルドック、ビーグル、ウェルシュコーギーなどです。肥満になりやすいため、腰に負担がかかってしまい発症の要因となる可能性が高いです。

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神経外科の検査

視診

立ち姿や座っている姿勢、歩きかたを診ていきます。神経外科疾患トラブルを抱えている場合、重心の位置や足の着き方などに問題がある場合があります。

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神経学的検査

系統立てた神経学的検査を行うことは、神経症状の原因場所を特定するためだけでなく、整形外科疾患との鑑別のため重要です。現在の神経症状の病態を把握をすることはもちろんのこと、治療後の神経機能の回復を確認するためにも効果的な検査です。
どのような病気でも同じことを言えますが、症状が改善しているのか、変わらないのか、悪化しているのかなど、病態の変化をしっかりと評価することが大切となります。

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画像検査

レントゲン(X線)検査

椎間の狭窄がないかをチェックします。また術前の胸部腹部のスクリーニング検査としても必要です。

CT検査

レントゲン写真では原因となっている部位の特定に至らないことも多いのですが、CT検査をすることにより部位の特定が明確になり、スムーズな手術や治療につながります。

画像診断科
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椎間板ヘルニアの治療方法

外科手術

多くの治療は、神経外科手術になります。手術の場合には、CT検査でできる限り病変部位を特定することで、低侵襲医療により脊髄神経へ効果的なアプローチができます。
脊椎(背骨)の一部分を削り脊髄神経を露出して、神経を圧迫するヘルニア物質を除去したり、脊髄神経にかかる圧迫を除去(減圧術)したりすることで、神経への負担を軽減します。

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術後管理

手術後の数日は、手術部位の炎症を抑えるために安静とアイスパックなどの処置をして、疼痛管理もしっかりと行います。
獣医師と看護師が連携して入院治療にあたります。
その後経過を見ながら、できるだけ早期にリハビリテーションを開始していきます。

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術後のリハビリテーション

動物メディカルセンターでは術後の早期回復や筋力維持を目的としたリハビリテーション専用施設がございます。米国テネシー大学が提供している「犬のリハビリテーション認定医」資格(CCRP)を取得した動物医療ケアスタッフを中心に水中トレッドミル、レーザー治療、マッサージ治療などを組み合わせたリハビリテーションを実施し、動物の症状と目標に合わせてリハビリテーションプログラムを組み立てます。

リハビリテーション科
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内科治療

神経の炎症を抑える薬と厳密な安静が必要となります。

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飼い主様へ

動物メディカルセンターでは椎間板ヘルニアの手術実績が豊富にございます。椎間板ヘルニアは比較的発見しやすく、早期に治療・リハビリテーションを行うことで、元の元気な状態に回復することも可能です。
当院以外の動物病院さんで治療が難しいと診断された場合も、あきらめずに、まずはご相談ください。

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